アフリカの新型コロナ、このまま少ない感染で終わるのか?

検査の列に並ぶ警察官(南アフリカ、5/7)|Themba Hadebe / AP Photo

◆感染爆発の深刻さが憂慮された理由
 そもそも、アフリカ大陸は、その医療システムの脆弱さから新型コロナ被害が甚大になると予想されてきた。大陸でもっとも発展した国の一つである南アフリカ共和国でさえ、770万人という世界最多のHIV感染者を数えることも懸念のひとつであった(クオーツ 3/18)。さらに、近年増えた中国との経済的結びつきの強さと、それに伴う直行便路線の存在も考慮に入れられた。ル・モンド紙(5/14)によれば、疫病発生前、中国との交流が最も盛んだったのは、エジプト、アルジェリア、南アフリカ、エチオピアで、実際、エチオピアを除く3ヶ国は感染者数の多い国である。

◆爆発的感染がいまだ起こっていない理由
 ではなぜ、予言された爆発的感染は起こっていないのか?

フュチューラ・サンテ』(4/28)はその理由として、早期の感染防止準備、人口密度の低さ、人の行き来の少なさ、人口が若いことをあげ、加えて、マラリア治療やBCG接種によりアフリカ人に何らかの免疫がある可能性を示唆する研究をあげている。さらに世界保健機関(WHO)のマイケル・ライアン氏は、エボラやマラリアなどの感染症を経験したことで、「感染者を見つけ隔離する手順、衛生、医師の訓練」などの対処法を学んだことがプラスに働いたのではないかと発言している(20 minutes紙 5/13)。

Text by 冠ゆき