仏のマスク狂騒曲 政府の「不要」「不足しない」崩れ、国民大混乱

Gonzalo Fuentes / Pool via AP

◆マスク着用義務付けを考える市長たち
 一連の流れを受け、パリ南部のソー市のフィリップ・ローラン市長は4月6日、10歳以上の者はみな、8日からは公共の場所で鼻と口を覆わなければならないと定めた(同市長ツイート)。同市長は、「(政府は)マスクが役に立たないと言わざるを得なかったが、それが間違いであることは誰もが知るところだ。100%の効力はないにしても、まったく役に立たないはずはない。ウイルスは唾を介して伝染するのだから」とも述べている(ウエスト・フランス紙、4/6)。

 ソー市以外にも、感染予防のためのマスク着用を考える自治体は複数ある。BFMテレビ(4/9)によれば、フランス北部の港町ダンケルクは、地元企業らの協力を得て布製マスクを生産し、20万人の市民全員に一人1枚配ることを決めた。CNEWS(4/9)によると、フランス南部ニース市は市民全員に布製マスクを配り、近くその着用を義務付ける意向だという。首都パリのアンヌ・イダルゴ市長も同方向で考えており、市民200万人に近いうち布製マスクを配るつもりだ(フランス・ブルーラジオ局、4/7)。さらには南部カンヌも、地元職人の協力により布製マスク製造に乗り出している(L’OBS誌、4/7)。

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Text by 冠ゆき