ネット配信、スクランブル化が救いの手に? イギリス公共放送に迫る危機(2)

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 前回の記事では、英公共放送局のBBCを取り巻く課題をお伝えした。若者のテレビ離れや高齢者のテレビライセンス料(日本でいう受信料)不払い宣言を前に、BBCはどのような対策を講じているのだろうか? 続編となる本稿では、制度改革案に関しイギリスで行われている議論をご紹介したい。

♦︎ネット配信の強化
 以前お伝えした通りBBCでは、若年層の視聴者数の減少が大きな問題となっている。監督機関にあたるオフコム(英放送通信省)は、16歳から24歳までの人々のうち過去1週間にBBCを視聴した割合が半数未満に留まることを指摘し、危機感をあらわにしている。英フィナンシャル・タイムズ紙(10月25日)によると、これに対しBBCは、視聴者層を広げるための「明確なプラン」があると余裕を見せているようだ。BBCの秘策とは、すなわちインターネット経由のストリーミング放送の強化だ。同局はiPlayerの名でオンデマンドの配信サービスを提供しており、これが若い層へのリーチを広げると期待を寄せている。事実、音楽配信のBBC Soundsと合わせると、34歳以下の比較的若い層の利用率は昨年よりも20%ほど向上している。

 英UCA芸術大学で映画・メディア・舞台芸術学部の校長を務めるリンジー・ダシー氏は、カンバセーション誌(10月21日)への寄稿記事のなかで、iPlayerの好調さを認めている。たとえばドラマシリーズでは『ボディガード —守るべきもの—』や『キリング・イヴ/Killing Eve』などが人気を呼んでおり、全番組の配信回数は合計で36億回に達する。NetflixやDisney+などとの競争にさらされることになるものの、ストリーミングビジネスに軸足を移すのも有効な選択肢の一つだとダシー氏は分析している。

Text by 青葉やまと