チャールズ3世は王室を新時代に導けるか? 最も長く待った国王に期待の声

女王の王冠の隣に座るチャールズ皇太子(5月10日)|Alastair Grant / AP Photo

◆物言う王になる? 気候変動に高い関心
 新国王は、率直な意見と半世紀にわたる社会活動で知られているが、王位に就いた後は、公人として異なるアプローチを取ると明言している。女王の後継者として変化をもたらすことを目指すが、王としては物議を醸す話題には口を挟まないと述べ、「私はそこまでバカではない」と2018年にBBCに話している(FT)。

 一方ジェンキンス氏は、常に慎重で発言に注意してきた女王と新国王の性格はまったく異なると述べ、知的情熱が勝るがゆえに、環境問題などにおける個人的な意見を新国王が政治に反映させてしまうことも考えられるとした。政治的ロビー活動や干渉への非難に王室は常にさらされており、細心の注意を払って無力であり続けることが、イギリスと英連邦の安定性を保つ方法だとしている。

 対照的に、Voxは新国王の環境問題への関心を歓迎する。長年にわたって警告を発している気候変動の問題に関しては、新国王は信頼性が高いと述べ、実際の政治力はなくとも国賓の晩餐会や外遊を通じて、気候変動への対策をとるよう提唱することはできるとする。地球規模の問題に取り組むことで、王室の妥当性を維持し、必要とされる存在にさえなるかもしれないとしている。

◆王室改革必至 王族削減も視野に
 女王はイギリスで最も長く君臨し、その絶大な人気ゆえに王室への批判や注目に耐えることができたが、新国王はその後継者であるという難しい課題に直面しているとFTは述べる。今後数年間で最大の試練となるのは、時に不仲の王室一家に平和と調和をもたらすことと、王室の合理化だろうと指摘。新国王は内々に王政をスリム化するつもりであることを廷臣に示唆しており、公式な上級王族の数を減らすこともあり得ると説明している。

 ジェンキンス氏も、新国王が力を発揮できるのは王室のイメージ改革であるとする。伝統にこだわった女王とは対照的に、新国王は堅苦しくない王室を目指しているようだとポジティブに評価する。そして現在のような大家族は不要で、女王が自分の子孫や親戚をセレブ軍団にしたのは間違いであり、新国王はそれを止めることができるとした。

 Voxは、新国王には英連邦のリーダーの役割を引き継ぐという課題があると指摘。バルバドスのように英女王を国家元首とする立憲君主制から共和制に移行した国もあり、女王亡き後はさらに連邦の維持は難しくなるとする。いま問われているのは新国王が女王のような統一的役割を果たすことであるとして、最も待たされた後継者の今後に注目している。

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Text by 山川 真智子