ドイツの町が日本フィーバーに! バドミントン・ドイツOP観戦記

Martin Meissner / AP Photo

 先週末はカトリックのカーニバルだった。たいてい2月なのだが、今年は暦の関係で3月となった。ドイツでは例によってケルンやデュッセルドルフで盛大なお祭り騒ぎとなり、朝から仮装の人々がビールを片手に街を行き交った。

 そんな雰囲気をよそに、デュッセルドルフ近郊のミュルハイムという小さな町は、日本フィーバーに染まっていた。バドミントンのヨネックス・ジャーマン・オープンが開催されていたのだが、トーナメント上位がほぼ日本一色となったのだ。結果はすでに報道されているとおり、5種目中3種目で日本が優勝、1種目で準優勝を果たした。

◆「バドミントンを支配する国」日本
 ジャーマン・オープンは1955年から続く由緒ある大会だ。14年前からルール川沿いのこのミュルハイムが開催地となっている。週末に近郊の人々が散策に訪れるような、風光明媚でのどかな町だ。一方で、ドイツバドミントン連盟の本拠地でもある。2016年の時点で、ドイツ全16州に19万人近い会員を抱える。地元クラブでは昨年ユースで2組の全国一を出し、また残念ながら今回は早々に敗退した、中国系ドイツ人で今年のドイツ選手権女子シングルス優勝のイヴォンヌ・リー選手もこの地を本拠地としている。

 連盟の会長は大会前から「(今年も)またアジアが席巻するだろう」と予想したが、果たして決勝は日本、中国、韓国、タイ、韓国の激戦となった。

 早くからソールドアウトとなっていた土曜日の準決勝では試合開始前、元ドイツ代表の選手たちが「バドミントンを支配する国」と、日本の躍進を讃えた。また、土曜・日曜と、ドイツ人の和太鼓チームが和楽を披露した。唯一残ったヨーロッパ人であるデンマークのハンス=クリスチャン・ヴィッティングス選手には会場・司会ともに多大な声援を寄せたが、結局は桃田賢斗選手の華麗なプレーにため息をついた。

 ドイツでは、桃田選手に好んで「Weltmeister」という枕詞を使う。「世界一」の意味なので、女子でもダブルスでも「Weltmeister/in/nen」なのだが、ほかの選手名とは必ずしもセットで使われるわけではない。どうやらコートで神々しささえ漂わせる桃田選手への最大の賛辞のようだ。

 全アジア対決となった決勝は準決勝に比べ、会場はかなりすいていた。男子はどちらも日本人対決だったこともあり、応援の声も控えめだった。一方、女子シングルスでは会場がおおいに盛り上がった。大接戦の末、山口茜選手が25点を取り試合が終了すると、会場は総立ちとなり両者の健闘を讃えた。

Text by モーゲンスタン陽子