男性、若者を取り込め 「ダイエット」から「ゼロ」に変わる炭酸飲料

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◆若い世代を意識? ダイエットでは響かない
 しかし数十年を経て、コカ・コーラ社は「シュガーフリー」というアイデアに立ち返ることになった。通常の炭酸飲料に比べ、ダイエット炭酸飲料の市場は大きく成長しており、メーカーにとってはまだまだ魅力的だ。今後さらに成長を続けるためには「ダイエット」という言葉を敬遠する消費者を取り込む必要がある。女性のためというイメージがある「ダイエット」では、男性には十分アピールできない。また、言葉自体から厳しい管理と苦しさを連想させられることもマイナスだと見られている。(CNN)

 名称変更のもう一つの大きな理由は、ミレニアル世代やZ世代にとって、「ダイエット」という言葉が時代遅れになったからだ。若い世代ではダイエット志向は薄れ、健康全般を重視する傾向があると、米デンバーのニュースチャンネル、デンバー7は指摘している。

 CNNは、消費者の嫌悪感はダイエットという言葉に対するもので、ノンカロリー飲料に対する嫌悪感ではないと指摘。ダイエットというブランドを強調しないことで若い消費者を取り込むのに役立つだろうとしている。

 現在カロリーゼロ・砂糖不使用のコーラの名前は、「ゼロ」「ゼロ・シュガー」に置き換えられているが、ヴァンダービルト大学のマーケティング学教授ケリー・ゴールドスミス氏は、缶の中に入っているのはダイエット製品であることにかわりはなく、ブランディングが変わっても商品そのものが変わったわけではないとしている(デンバー7)。健康情報サイト『ヘルスライン』は、コカ・コーラの「ダイエット」と「ゼロ」では使用される甘味料やカフェイン含有量に違いはあるものの、実質的にほぼ同じだと結論づけている。

◆手強いライバル登場 ダイエットファンも見捨てないで
 炭酸飲料業界はゼロ製品に力を入れるが、その最大のライバルはスパークリングウォーターだという。カロリーゼロで甘味料を使わないため、より健康的なイメージがあるということで、多くの人がスパークリングウォーターに移行していると業界関係者は話している。炭酸飲料業界に新風を吹き込もうと、健康をサポートする機能を持たせたソーダなど、新商品開発も盛んだという。(CNN)

 一方ゴールドスミス氏は「あるブランドや製品を大量に消費している顧客は、それを自分のコアなアイデンティティの一部とみなしている」と指摘(デンバー7)。ブランディングの見直しは結構だが、長年のオリジナル愛用者に対するニッチなマーケティング戦略も同時に必要ではないかとしている。

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Text by 山川 真智子