日本の若手起業家に英米メディア注目 経産省“リスク取らないのもリスク”と起業を奨励

 フォーブス誌が、2015年の「日本の富豪50人」を発表した。ランキングには多くの高齢者の名が連ねられ、国民だけでなく、企業も高齢化している現状を反映した。日本の未来にとって、若い起業家の育成が必須だと海外紙が報じている。

◆中年富豪が少ない
 フォーブス誌に寄稿したタチアナ・セラフィン氏は、今年の番付には、90代が3人、80代が8人含まれていると述べ、創業者が長らく会社に残る傾向が日本には多いと指摘する。49位にランクインした船井電機の創業者で会長の船井哲良氏は88歳。テンプスタッフの創業者でテンプホールディング会長の篠原欣子氏も、80歳で46位となっている。しかし、幼少期が高度経済成長期に当たり、すでに十分成功しているであろうはずの中年世代が、楽天の三木谷氏以外にはほぼ見当たらないと述べている。

◆起業が経済を変える
 経産省の新規事業調整官、石井芳明氏は、1940年代にはソニーやホンダのような新しい企業が現れ、日本の復興を牽引し、経済大国となるのに貢献したが、90年代以降、日本は不景気とデフレの罠にはまったと述べる(ロサンゼルス・タイムズ紙、以下LAT)。

 安倍首相は、この時期に欠けていたのが起業であったと考え、アベノミクスのもと、起業家の育成に取り組もうとしている。石井氏も、ベンチャーの持つ可能性を重視し、サポートの必要性を訴える。(ロサンゼルス・タイムズ紙、以下LAT)。

 石井氏によれば、英米では10社に1社がスタートアップ企業だが、日本では20社に1社と少ない。起業を増やすには、エンジェル投資家を税制上優遇したり、自社発の事業しか好まない傾向がある既存の企業に、起業家との協力を促すなどの措置が必要だという。

 また、企業だけではなく、社会全体としても考え方を変える時だと同氏は話す。ヘルシンキのホフステードセンターによる、多文化とビジネスの調査によれば、日本は世界で最も「不確実を避ける」国らしい。男性が会社を辞めて起業をしたいと言えば、危険すぎるからと母親か妻が止める場合が多い日本では、「リスクを取らないこともリスクだと知る必要がある」と石井氏は述べている。

◆若い起業家に期待
 LATは、詰め込み教育を受け、有名大学に入り、大企業に入って終身雇用のなか出世を目指すという典型的なコースを皆が横並びで求める日本においても、別の道を歩む若者が現れたと報じている。現在17歳の三上洋一郎さんは、15歳のときに、「すでに多くの日本の大企業は、創立から50~60年経っている」と気づいた。この先無くなるかもしれない企業で働くより、自分で起業しようと考えた三上さんは、高校を1年で退学し、学生ビジネスコンテストで得た賞金と、スポンサー企業からの援助を元手に、中高生・大学生向けのクラウドファンディングサービスを手掛ける会社を設立した。

 BBCは、18歳のときアフリカに渡り、子供の教育や地元の農民への支援を始めた20歳の牧浦土雅さんを紹介。現在は途上国の生活水準向上を目指し、タイでデータ関連の会社を立ち上げており、リスクを恐れずグローバルな視点を持った彼の起業家精神こそ、日本政府が奨励したいものだと述べた。

 若い起業家たちの活躍は日本を変える可能性を持つ。海外もそういった新しい動きに注目している。

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Text by NewSphere 編集部