トライ&エラーに躊躇不要、英国発の低価格コンピューター「ラスベリーパイ」
安価で高性能の「ラズベリーパイ(Raspberry Pi)」が、欧米の教育現場を中心に浸透している。一方、日本でもAI(人工知能)導入が進むものづくりの過程で利用者が増えているが、専門家やデジタルマニアが好むデバイスとして紹介されてきた。「入り口の違いが、その後のデバイスの普及に影響を及ぼしている」と話すのは、「ジャパニーズ・ラズベリーパイ・ユーザーズ・グループ」の主宰、太田昌文さんだ。
◆コンピュータースキルの低下を嘆いた教師の思い
ラズベリーパイ(通称ラズパイ)は、イギリスで生まれたLinuxで動く格安のシングルボードコンピューターだ。小さな板の上に、コンピュターとして機能するために必要なCPUやメモリ、ストレージといったものが実装されている。一般的なPCと呼ばれるものと比べ、モニターもなければデバイスのカバーさえない剥き出しのパーツだが、コンピューターとしての機能はしっかり備えている。
「ラズベリーパイ財団の共同創設者であるエベン・アプトンさんは、2000年代に入りケンブリッジ大学のコンピューターサイエンスのクラスで教鞭を振るっていた」とアプトンさんと交流がある太田さんは話す。
「年々コンピューターサイエンスを学びたいと考える学生が減っていることと、志望者の入学時のコンピュータースキルが著しく下がってきていることに、アプトンさんたちが大きな懸念を抱いたのがラズベリーパイ誕生きっかけになっている」(太田さん)