台湾の映像制作チームが描く「アート+歴史」 日本統治時代の画家を辿った『タッタカの思出』公開

你哥影視社の面々:左から廖修慧さん、蘇育賢さん、田倧源さん©︎你哥影視

 台湾でアートにまつわる映像作品を通じ、次世代に多様な歴史観を伝えようという取り組みが行われている。台湾南部にある高雄市立美術館は、開館25周年を記念して昨年まで3年にわたって「《South Plus: 大南方多元史觀特藏室》」という企画展を公開。なかでも近現代の絵画とドキュメンタリー映像をインスタレーションした「タッタカの思出」は一枚の絵画から歴史を追った企画の一つ。プロジェクトに関わった若手映画製作チーム「你哥影視社(Your Bros. Filmmaking Group)」に話を聞いた。

◆映像を通じて伝えられるアートと歴史
 「映像制作のきっかけは、高雄市立美術館が収集してきた1930年代からの作品と、それに関する資料や文献を提供するので、『次世代に伝えるアプローチを探るための作品を何か作ってくれないか』と声をかけてもらったことだった」と話すのは、你哥影視社の田倧源さんだ。

台湾の芸術関連雑誌のYouTubeで公開された、高雄市立美術館の企画展
「《South Plus: 大南方多元史觀特藏室》」キューレターインタビュー

 你哥影視社の1人である蘇育賢さんが、以前からアート作品と歴史考察に関する映像作品を作っていた経緯から、同美術館が彼らへ仕事を依頼したのだという。「声をかけられた時点では、どの作品をテーマに、どんな映像作りを行っていくかといったことは、何も決まっていなかった」と当時を振り返る。

Text by 寺町 幸枝