揺らぐフランスの出生地主義? 内相がマヨット海外県で廃止を予告

マヨットの治安などに関するデモ(マルセイユ、2018年3月)|GERARD BOTTINO / Shutterstock.com

 インド洋のフランス海外県マヨットを訪れたダルマナン内相は11日、同県における「出生地主義」の廃止を検討することを発表した。不法移民との争いが絶えず、悪化する一方の同県の治安を守るための判断ではあるが、多くの波紋を呼んでいる。

◆出生地主義と血統主義
 子が出生時に取得する国籍を決める方法は万国共通ではない。たとえば、生まれた子が日本国籍を取得するには、現代では基本的に父母のどちらかが日本人でなくてはならない。このように両親の国籍によって、生まれた子供の国籍を決める方法は、血統主義と呼ばれる。一方、出生地主義は、両親の国籍にかかわらず、国内で生まれた子に当該国の国籍を付与する決定方法のことを指す。

 現在、ほとんどの国は、出生地主義と血統主義のどちらかに重きを置きながらも両方を併用している。たとえば、血統主義が基本の日本においても、出生した子供の両親が不明の場合には日本国籍を付与するなど、限られたケースではあるが、部分的に出生地主義も採用している。

◆フランスでは条件付きの出生地主義
 出生地主義が優勢な国は、北南米に多い。これは、植民地や移民の歴史を持つ国が多いことと無関係ではないだろう。そのほかオーストラリア、ほとんどの西欧諸国、アフリカの一部の国も、条件付きの出生地主義を取っている。

Text by 冠ゆき