ウクライナ侵攻から2年…訪れつつある「ロシア有利」の状況

ゼレンスキー大統領=4日|Ukrainian Presidential Press Office via AP

◆トランプ勝利を待ち望むプーチン大統領
 一方、自らに都合の良い環境が訪れていると感じているのがロシアのプーチン大統領だ。3月に大統領選を控えているが、当選は確実視され、それによって2030年までの政権運営という政治的なお墨付きを得ることになる。今年、ロシアは攻勢を強めるとみられるが、プーチン大統領としてはトランプ氏が勝利し、同氏に接近することで米欧にくさびを打ち込み、対ロ連携を崩したい狙いがある。また、トランプ勝利でアメリカのウクライナに対する優先度が大幅に低下し、ウクライナ情勢を有利な形で進められるとも考えていることだろう。

 そして、その一環として考えられるのが一時的な停戦だ。ロシア軍がウクライナ東部や南部の一部地域を支配する現状で停戦に合意することは、プーチン大統領にとって都合の悪いものではない。「こちらが停戦に応じようとしているのにウクライナ側が応じようとしない」と自らの正当性を諸外国にアピールする材料にもなる。プーチン大統領は停戦というオプションもトランプ氏に投げかけていくことだろう。

Text by 本田英寿