トランプ氏が再び大統領になれば何が起きるのか

Bryon Houlgrave / AP Photo

 来年2024年秋、アメリカ大統領選挙では再びバイデン氏とトランプ氏の戦いとなる様相が濃くなっている。誰か若く有能な政治家が突如出現することを多くの有権者は期待しているかもしれないが、そうはなりそうにない状況だ。バイデン大統領が勝てば基本的に今の状況が継続することになるが、トランプ前大統領が勝てば今日の世界情勢は大きく変化することになる。トランプ氏が大統領に復帰すると、どのような変化が考えられるのか。

◆ウクライナ情勢に与える影響
 仮に、今から13ヶ月後の2025年1月にトランプ氏が再びアメリカファーストを強調することになれば、ウクライナは危機感を強めることになる。ロシアがウクライナへの侵攻を開始してからもうすぐ2年となるが、バイデン氏は民主主義と権威主義の価値観の戦争として、ウクライナへ積極的な軍事支援を行ってきた。

 一方、トランプ外交は理念や価値観をそれほど重視せず、根底あるのはディール外交だ。すなわち、トランプ氏にとって外交とは一つの商取引であり、ウクライナ情勢に絡むことで何かしら具体的なメリットがないと、ウクライナへの支援を削減、もしくは停止する可能性もあり得るだろう。

 ウクライナへの支援継続を呼びかけるゼレンスキー大統領とトランプ氏の相性が合うとは考えにくい。一方、トランプ氏とロシアのプーチン大統領は相性的にそれほど悪いわけではなく、プーチン氏はトランプ氏の再選を望んでいることは間違いない。

Text by 本田英寿