今こそ結束のはずが…物議を醸すマクロン仏大統領の「台湾」発言

中国の大学で演説するマクロン仏大統領(4月7日)|Thibault Camus / AP Photo

 昨今、アメリカを中心とする自由主義陣営で動揺が走っている。3日間の中国訪問を終えた帰国したフランスのマクロン大統領が地元メディアの取材に応じた際、「台湾情勢について欧州は米中どちらにも追随するべきではなく、自分たちとは関係のない世界の混乱や危機に巻き込まれるべきではない」との持論を展開した。

◆欧州とアメリカからの批判
 これに対して2つの批判の声が出ている。1つは欧州諸国からだ。ロシアがウクライナに侵攻してから1年が経過し、4月に入ってロシアと1300キロにわたって国境を接するフィンランドが北大西洋条約機構(NATO)に正式加盟したなか(次はスウェーデンの加盟が予定されている)、マクロン大統領は欧州を一括りにするなとの不満が欧州諸国から噴出。特にロシアの脅威に直面する東欧諸国からの不満が強い。近年、バルト3国のリトアニアは台湾と政治経済的な関係を強める一方、中国との外交関係が悪化しているので、リトアニアのマクロン大統領への疑念は極めて強いことだろう。

 もう1つがアメリカからの批判で、たとえば共和党のマルコ・ルビオ上院議員は自身のツイッターに動画を配信し、「これは欧州全体を代弁した声ではない。欧州が台湾情勢に関して米中どちらにつくか態度を明確にしないのであれば、アメリカもウクライナ情勢は欧州自身で対応すればいいと主張するべきだ」とアメリカのウクライナ支援停止をちらつかせる形でマクロン大統領を批判した。

Text by 本田英寿