3期目の習近平政権、さらに強硬な外交路線へ 狙う米国の「隙」

Andy Wong / AP Photo

 10月に5年に1度の中国共産党大会が開催され、習近平氏が国家主席として3期目以降も務めることになった。これまで共産党の規約では国家主席は「2期10年まで」だったが、習氏は2018年に党規約を変え、今回3期目が確実視されていた。そして2期目までと違い、習氏は自らの側近たちで最高指導部を固め、リンカーン大統領による「government of the people, by the people, for the people」になぞらえれば、「習の、習による、習のための政治」になったと言えよう。3期目の人事を見る限り、習氏に物申せる人物はいない。共産党大会の最終日、胡錦濤前国家主席が事実上退場を命じられたシーンはそれを物語っている。つまり、習氏にストップをかけられる人物がいなくなった。

◆より強硬になる習近平
 では、今後習氏はどのような対外姿勢を取るのだろうか。答えは、温家宝時代や胡錦濤時代にすでに共産党内部で共有されていた「海洋強国の建国」や「核心的利益の追求」などを実行に移し、衝突する国々に対してはより強硬な姿勢で臨むことだろう。

 習氏は2013年までの国家副主席の時代から、当時のオバマ大統領に対して「相互の重要権益では干渉し合わない」「太平洋には中国と米国双方を受け入れる十分な空間がある」など新型大国関係を受け入れるよう求め、実際、国家主席になってからオバマ大統領と会談した際、オバマ氏はそれにイエスと応じた。

 これについて保守層からオバマ大統領は手ぬるいと多くの批判が上がったが、習氏は米国からの承認を得た前提で、2013年の一帯一路の開始など、対外的影響力の拡大、力による現状変更の試みを加速させた。南シナ海や東シナ海、台湾などでの海洋覇権、グローバルサウスへの莫大な経済支援などはそれを物語る。終身雇用の指導者となったことで、この動きは今後いっそう強化されることになる。

Text by 本田英寿