偵察用ドローン「スキャンイーグル」とは? 米がウクライナに提供へ

U.S. Navy photo / Wikimedia Commons

◆空港インフラなしに発着可能
 ウクライナの戦場においてスキャンイーグルは、砲撃の攻撃目標を定めるために活用される。インフラ施設が被害を受けている現地において、ドローンは運用上の利点が大きい。ヤフーニュースはスキャンイーグルが15機提供されると報じ、「大型の航空機と異なり、UAV(無人航空機)は離陸に滑走路を必要としない。ウクライナの飛行場を攻撃しても、ドローン操作への影響は少ないということになる」と指摘している。

 スキャンイーグルは米軍にも採用されている。米コーヒー・オア・ダイ誌は、アメリカの特殊作戦部隊が20年近く使用してきたと述べている。2009年には、インド洋で海賊に襲撃された米コンテナ船の周囲を飛行し、現地の映像を届けた。光学カメラに加えて各種センサーを搭載し現場の状況を収集するほか、上空に留まり通信を中継する能力を持つ。

◆カタパルトで射出し、ネットで捕捉
 発進には滑走路を必要とせず、代わりにカタパルトによって射出するようだ。また、エアフォース・マガジンは米空軍による情報として、帰還時はネットで捕捉すると伝えている。機体重量が約18キロと軽量なため、このような運用が可能になっている。可視光カメラと赤外線カメラを備え、映像を地上の受信装置に送出する。

 追加支援パッケージにはスキャンイーグルのほか、105ミリ榴弾砲16門、105ミリ砲弾3万6000発、「MRAPS(エムラップ)」地雷除去車、「ジャベリン」対装甲車砲1000門など、多岐にわたる兵器が含まれる。「HIMARS(ハイマース)」高機動ロケットシステムの弾薬も新たに提供される予定だ。コーヒー・オア・ダイ誌によると米国防総省高官は、ウクライナ軍はハイマースを「優れた技量で」活用しており、ロシアに対する戦場の流れを変えたと評価している。米国防総省としてはウクライナの需要に応じるため、弾薬の流通を今後も確保したいと述べている。

 ロケット砲の正確な運用を助けるスキャンイーグルは、ジャベリンやハイマースに続き、ウクライナの戦況を大きく変える可能性もありそうだ。

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Text by 青葉やまと