迫る食糧危機、ウクライナ穀物輸出めぐり攻防 米軍トップ、武力による黒海封鎖解除は「ハイリスク」

小麦畑で働くマリの女性(2013年)|Jerome Delay / AP Photo

 ロシアがウクライナの穀物輸出ルートを封鎖したことで、世界的な食糧危機と食糧価格高騰のリスクが高まっている。ウクライナはトウモロコシの輸出で世界第4位となっており、小麦でも第5位につける。代替輸送路が限られるなか、ロシアを巻き込んだ政治交渉が注目される。

◆数百万トンが滞留
 ロシアはウクライナの穀物輸出ルートを封鎖しており、オデーサ(オデッサ)の港も数ヶ月にわたりロシアの軍艦に包囲されている。米CNN(6月1日)は、数百万トンの穀物がウクライナで行き場をなくしており、オデーサの港でサイロに保管されていると報じた。戦争長期化に伴い、世界的な食糧価格の「劇的な高騰」を招くとの見方を示している。

 一部にはロシアが世界の食糧を「人質」にとったとの見方もあるが、同国としても国内での価格高騰の危機は避けたいところだ。英ガーディアン紙(6月2日)は「穀物をすぐさま世界市場に届けるべきという点では両者同意している」と分析しながらも、実施方法の決定について主導権を握るべく、両国が政治的駆け引きを繰り広げている状態だとみる。

Text by 青葉やまと