国際協調という名の“バイデン流アメリカファースト”

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◆バイデン流アメリカファーストを示したアフガン撤退
 そして、バイデン流アメリカファーストはアフガニスタンからの米軍撤退においても鮮明になった。バイデン大統領自身はオバマ政権で副大統領を務めた時から撤退を強く主張してきたが、根底にあるのはアフガンの平和構築や経済発展以上に、米国の安全保障、米国人の安全である。それは、米軍撤退前の7月にバイデン大統領が演説の中で、「これ以上米兵の若者を死なせない」「アルカイダの打倒と9.11のようなテロの再発防止は達成された」「アフガンの国家建設はアフガン国民の権利と責任である」「米国は中国など新たな脅威に対応する必要がある」などと主張したことからも明らかだろう。

 ギャラップ社が10月に発表した最新の世論調査によると、バイデン大統領の支持率は42パーセントとなり、8月から2ヶ月連続の下落となったが、その原因には「アフガン撤退という政策はわかるがタイミングが悪すぎた」という米国民の不信感がある。バイデン大統領の就任前後は自然とトランプ政権との比較がよくなされたが、歳月が流れるにつれバイデン大統領は自分自身との対決を迫られるようになっている。今回のアフガンの米軍撤退という選択が支持率の低下に繋がったことは間違いなく、今後のバイデン流アメリカファーストがかえって自らの首を絞める結果になることもありえる。対中国、コロナ、経済など依然として多くの課題に直面しているといえる。

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Text by 和田大樹