クアッド、「中華同盟」 それぞれの陣営作りを急ぐ米中

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◆「中華同盟」を固めようとする習近平
 中国も自らが主導する陣営作りに力を入れている。習近平国家主席は9日、毎年恒例となっている東欧や中欧の17ヶ国の指導者らとのオンライン首脳会合を実施した。会合では、中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」の政策について議論されるが、今年は新型コロナウイルスの中国産ワクチンの支援・提供についても議論が交わされたという。ルーマニアやブルガリア、ハンガリー、セルビアなどと中国の関係は近年緊密化しているが、セルビアには1月中旬、シノファームのワクチン100万回分が到着し、同国のヴチッチ大統領が空港でワクチン到着を出迎えた。すでに中国製ワクチンは、ブラジルやチリ、ヨルダン、UAE、ラオス、カンボジア、インドネシア、ブルネイなど各国へ提供され、接種が開始されるという。

 昨年夏、国連人権理事会で中国が施行した香港国家安全維持法に関する審議が行われたが、それを支持する立場に回った国々は50を超える。それだけ中国と中小国との結びつきが強くなっているということだが、こういったワクチンの無償提供や一帯一路に基づく多額の経済支援を通して、中国は独自の「中華陣営」というものを拡大しようとしている。

◆米中の狭間で難しい立ち位置の日本
 一方、バイデン大統領は気候変動や新型コロナウイルス、核拡散などグローバルな課題については中国と協力する余地があるとしている。これはトランプ政権からの大転換となるが、現在、中国側もバイデン政権の出方を注視しており、対立と協力の狭間で米国との向き合い方を探ってくる可能性もある。しかし基本路線は変わらないことから、中国は米国主導の多国間枠組みに対抗するため、自らの陣営作りをいっそう強化していくことだろう。

 米中対立は、すでに回復不可能なところまで来ている。日本は政治的にも地理的にも米中どちらにどれほどの力点(安全保障上は米国側であることから、実際は中国との対立軸のなかでどう中国と向き合うかになる)を置くのかを試されるときが来るだろう。

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Text by 和田大樹

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