バイデン政権で「対中包囲網」はどこまで形成されるのか

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 米国は13日、中国の新疆ウイグル自治区で人権侵害が続いていることを理由に、同自治区で生産された織物や原料繊維、衣服や缶詰などの輸入を禁止すると発表した。米国は先月にも共産党傘下の大手綿製造団体「新疆生産建設兵団」が生産した綿製品の輸入を禁止する措置を発表している。

 バイデン政権はトランプ政権との違いを強調していくだろうが、対中姿勢では大きく変わらず、米中対立は続いていくことになる。トランプ政権のような懲罰的とも揶揄される制裁の連発はないと思われるが、トランプ政権下で発動された制裁措置がバイデン政権になってすぐに解除されることはないだろう。

◆英国も対中姿勢をこれまでになく硬化させる
 そして、米国と同じように、英国のラーブ外相は12日、中国の習政権による新疆ウイグル自治区での人権抑圧的な政策を非難し、今後強制労働などとの関係が疑われる商品の中国からの輸入を禁止する方針を明らかにした。ラーブ外相は、北京によるウイグルでの強制労働を野蛮行為と中国を強く非難している。ラーブ外相は去年2月、EUからの離脱後初の外遊先として日本とオーストラリア、インドとシンガポールを選んだ。こういった事実からも、英国の対中姿勢がうかがえる。

 また、今年のG7先進国首脳会合(サミット)の議長国である英国は先月15日、韓国・オーストラリア・インドを招待し、計10ヶ国で会談を行う計画を明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大以降、米中関係はこれまでになく対立が深まっているが、香港国家安全維持法や中印国境での衝突などでオーストラリアやインドの中国との関係も悪化している。英国による同3ヶ国の招待は中国をけん制することになり、安全保障や経済の分野において自由民主主義諸国と中国との間で対立がいっそう深まる可能性がある。

Text by 和田大樹