米韓関係、さらなる冷え込みも 同盟国を注視するバイデン政権

バイデン大統領と電話会談する文在寅大統領(2月4日)|South Korea Presidential Blue House via AP

 トランプ前政権は中国との2国間(バイ)での対立だったが、バイデン政権は同盟国との協力を重視し、多国間(マルチ)の枠組みで中国に対抗していく立場を鮮明にしている。一方、韓国はきわめて難しい立場にあり、トランプ時代に冷え込んだ米韓関係は、バイデン政権下でも改善しそうにない。

◆「最も親しい友人」も、改善しそうにない米韓関係
 バイデン大統領は2月5日に外交演説を行い、中国を「最も深刻な競争相手」Our most serious competitor)」と名指しし、人権や安全保障、経済など多方面で中国に対応していく姿勢を強調し、欧州や日本、オーストラリアと韓国を「我々の最高の財産(Our greatest asset)」と位置づけた。しかし、バイデン大統領が我々の最高の財産と位置づけた韓国との関係は、トランプ前政権同様に難しいものになりそうだ。

 昨年10月、東京では日本、米国、オーストラリア、インドの4ヶ国外相による安全保障会合「クアッド会議」が開催されたが、ポンペオ前国務長官はその冒頭から、「共産党の搾取、腐敗、威圧からパートナーを守らなくてはならない」と習政権を強く非難し、4ヶ国による対中包囲網の形成を強く呼びかけた。だが、その会合に韓国は参加しなかったどころか、ポンペオ氏はクアッド会議後に韓国を訪問する予定だったが、急遽それをキャンセルした(トランプ大統領の新型コロナ感染が原因とも言われるが)。

 また、同月、米国防総省では米韓の安保協議が行われたが、その際、両国は防衛費分担金などをめぐって激しく衝突し、共同声明からは「在韓米軍の現水準を維持」という表現が取り除かれ、予定されていた両国国防トップの記者会見も中止された。

Text by 和田大樹