「戦争準備に集中せよ」習近平の発言はさらにエスカレートするか

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 さらに、習近平氏は10月23日、中国軍の朝鮮戦争参戦70周年を記念する式典の席で演説し、「中国は米国からの圧力に屈することはない」「台湾の独立的・分裂的な動きに対しては絶対に容認しない、武力行使も辞さない」「一国主義や保護主義、中国包囲網的な動きは通用しない」などの姿勢を改めて強調した。

 以上のような発言からは、「国家安全維持法を機会に香港の中国化をいっそう進める」「3日から実施されるマラバールや日米印豪によるクアッドにも中国は絶対に屈することはない」「新型コロナウイルスの感染拡大によって進む各国での対中感情悪化にも動じない」などのような習近平氏の強い意志を想像することができる。
 
◆発言はより個別具体的になる?
 では、米中対立の長期化は習近平氏の発言にどんな変化をもたらすだろうか。予測することは簡単ではないが、一つは発言がもっと個別具体的になるのではないか。すなわち、東シナ海や南シナ海などでの安全保障環境がいっこうに改善しないなか、緊張が高まるにつれ、今後の戦略や動向についてもっと明確な言葉を用い、より相手側(米国や日本など)へ牽制球となる言い方をするのではないだろうか。今後の動向が懸念される。

Text by 和田大樹