ポストコロナ時代の米中対立 北朝鮮を疎かにできない核以外の理由

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 反対に、北朝鮮が中国と関係をこれまで以上に緊密化し、中国の影響力が北朝鮮を覆うようになると、それは北緯38度線まで中国の影響力が南下することになり、米国の軍事勢力圏と接することになる。米国としてもそれはなんとしても避けたいシナリオである。

 要は、北朝鮮とは、米中それぞれの勢力圏のちょうど狭間に位置する国家であり、北朝鮮も十分にそれを理解している。そして、上述のように複雑な米中関係を巧みに利用することで、自らの体制維持や繁栄・発展を模索しているのである。米中関係がこれまで以上に悪化するのであれば、北朝鮮にとっては抜け道が多くなり、自らにとって有利な天秤外交を展開してくるかもしれない。

◆今後の展開
 上述のように、中国は現在、感染源の特定や透明性ある責任を避けるかのような支援外交を展開し、新型コロナに打ち勝った中国を内外に示そうとしている。それに待ったをかけようとしているのが米国だ。すでにこの件で両者は妥協できない、引けない立場にある。中国は自らの非を認め、謝罪するようなことがあれば(そうしないだろうが)、この件では米国に軍配が上がる。反対に、米国が責任を追及しても、中国がそれに答えず、世界で影響力を拡大し続けるのであれば、米国の威信はさらに落ち込む。

 こういった展開も北朝鮮にとっては有利に働くはずだ。米中関係の悪化は地政学的にも北朝鮮に有利に働き、東アジアの安全保障環境をいっそう複雑化させる。

Text by 和田大樹