中国による外国人拘束を考える 北大教授だけでなく相次ぐ事例

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 10月18日、中国を訪問していた北海道大学の教授が北京で拘束された。現在も詳しいことはわかっていないが、この教授は日本へ帰る直前に北京の空港で拘束されたという。同教授は中国の近現代史を専門とし、防衛研究所や外務省に勤務した経験があることから、こういった専門性や経歴が今回の拘束に影響した可能性もある。現在国立大学の教員は準公務員にあたるが、そういった身分の者が拘束されるのは初めてとみられる。この件について、中国当局は21日の定例会見で事実関係を認めている。中国で反スパイ法に基づき逮捕された日本人は少なくとも13人に上り、実刑判決を受けた者もいる。同様の事態は日本人以外にも起こっている。

◆日本だけではない、欧米諸国や台湾も
 9月下旬、江蘇省で英語圏から英語教師を受け入れる事業を展開する企業の米国人経営者ら2人が、受け入れた英語教師らを不当に他省へ行き来させていたとして逮捕された。詳しい背景は明らかになっておらず、その2週間前に米国内で中国政府職員1人が就労ビザの詐欺容疑で逮捕されたことに対する外交的報復ではないかとの指摘もある。

                                                                                                                 

 また、今年8月、香港にある英国領事館に勤務する職員が中国本土へ出張した際に拘束されたことに対して、英国は強い懸念を表明した。この拘束について、一部では、英国が激化する香港情勢で北京に自制を求め続けたからではないかとの声も聞かれる。2015年にも、英国のパスポートを所持する香港在住者が中国の秘密警察に拘束され、他の4人とともに中国本土へ送られ行方不明となった。この4人は中国政府を非難する本を過去に出版したことがあった。

 さらに、オーストラリアは2018年6月、外国政府の国内でのスパイ活動や内政干渉を防止する複数の法案を可決したが、中国は今年1月、オーストラリア国籍の作家の男性を広州で拘束し、スパイ容疑で逮捕した(8月にこれを正式に認めた)。この作家は、2000年にオーストラリア国籍を取得し、長年中国政治に関する論評活動を行っていた。1月中旬にニューヨークから広東省広州に到着した際、空港で当局に拘束された。

 一方、中台関係で摩擦が生じるなか、2019年9月現在、少なくとも67人の台湾人がスパイ容疑などで逮捕され、行方不明となっている。逮捕の理由や背景もわかっておらず、家族も連絡が取れない状況が続いているという。また、今年6月には、スペインを拠点に中国国民に電話で接触し、多額の金銭を詐取していた台湾人の容疑者94人の身柄が中国本土に送られたと判明した。

Text by 和田大樹