日韓関係の悪化を米国はどう見るか?

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 現在、日韓関係は冷え込んでいる。しかし、これまでの日韓関係の歴史を辿ると、良いときと悪いときの繰り返しのようにも思う。そして、経済や文化面での日韓関係が深まっているのは否定できず、おそらく世代別の国民感情を調査すると、また違った側面が見えてくるだろう。

 日韓関係とは、日本からみる日韓関係、韓国からみる韓日関係があるが、それはおもに政治、歴史、領土問題によって左右される。しかし、日韓関係にはもう一つ重要な側面がある。米国からみる日韓関係だ。それは安全保障的な意味が大きい。今後の世界情勢を考えると、この日韓関係はきわめて重要で、日本の国益に与える影響も大きい。そして、それはどれだけ日韓関係が悪化しても、その暴発を防ぐ役割も担っている。

◆第3次アーミテージ・ナイレポートで言及された日韓関係
 日韓関係における米国の本音はどこにあるのだろうか。一つの例として、2012年8月に発表された「第3次アーミテージ・ナイレポート」を見てみたい。

 この報告書のなかでは、米日韓3ヶ国間のパートナーシップの重要性について言及されている。この報告書を書いたリチャード・アーミテージ氏とジョセフ・ナイ氏は、米日韓は民主主義の価値観を共有し、その連帯は地域の安全と平和にとって不可欠な要素であり、安全保障分野の協力にとどまらず、原子力エネルギーや ODAなどほかの分野における協力も重要だと指摘した。そして、それらを進めるにあたって、両氏は、日韓両国が歴史問題に真剣に向き合う必要性があると強調し、中国の台頭や北朝鮮など不透明な脅威に直面している極東アジア情勢を考慮すると、日韓両国は現実的な利益を考えて行動するべきだと主張している。

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Text by 和田大樹