日韓関係の悪化を米国はどう見るか?

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◆日韓関係をめぐる米国の本音
 第3次アーミテージ・ナイレポートで言及されているように、米国の本音はそこにある。米国にとって、日米同盟はアジア・太平洋の軍事的要所で、米韓同盟は北朝鮮対策という意味で重要な軍事同盟である。そして、日米同盟も米韓同盟も米国からすると「一つ」の同盟ネットワークであり、そこにヒビが入ることは避けたい。

 とくに、竹島付近上空における中露の領空侵犯などがあると、米国としては強い危機感を抱いたことだろう。7月には、トランプ大統領が求められれば日韓の仲裁役に応じるとの意志を示したが、米国としては、日韓関係の悪化によって対中、対朝で連携が崩れることを避けたい。言い換えると、そういった不満を日本や韓国に抱いている。

◆今後の日韓関係の行方
 米国から見る日韓関係や、安全保障の観点から見た日韓関係が国内で報じられ、議論されることはきわめて少ない。当然ながら、日本の基本的なスタンスは維持されるべきである。しかし、安全保障的に重要な日韓関係に重きが置かれないことによる不利益も、中長期的には考えなければならない。

 そして、これは韓国にも通じることで、韓国自身も安全保障的に重要な日韓関係をもっと意識する必要がある。他国との対立や関係の悪化はどこの国でも生じる。しかし、選択肢はマルかバツだけではない。分野別の多層的、多角的な日韓関係というものがもっと前面に出る必要がある。

Text by 和田大樹