竹島領空侵犯、ミサイル発射……中露朝による政治的シグナルとは?

ロシア軍のA50早期警戒管制機|Joint Staff, Ministry of Defense via AP

 徴用工判決や半導体材料の輸出厳格化など、昨今、日韓関係が冷え込んでいる。これによる影響は二国間関係だけに収まらない。たとえば、安全保障の視点から考えると、いくつかの懸念事項がある。それは最近の事例にも表れている。

 ロシア国防省は7月23日、東シナ海と日本海の上空で中国軍と初の「合同長距離パトロール」を実施したと発表した。中国軍は、東シナ海から対馬海峡を越えて北上し、日本海の上空でロシア軍機と合流し、その後に竹島付近の上空を飛行したという。

 その2日後、北朝鮮は新型とされる短距離弾道ミサイル2発を日本海へ向けてそれぞれ発射し、31日にも同様にミサイルを日本海へ落下させた。これら3ヶ国の行動は、何を意味するのだろうか。筆者は、これらを政治的シグナルと捉え、米国を主軸とする日米韓の安全保障体制、そして日本の領土問題をけん制する狙いがあると考える。

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Text by 和田大樹