タンカー攻撃、「やった・やってない」の裏側 イランが仕掛ける非対称戦

ISNA / AP Photo

◆各国によって違う見解と立ち位置
 この件について、各国によって見解が異なる。イランを敵視し続けるトランプ政権は、同事件をイランがやったと強調し、それへの支持を各国から集めようとしている。当然ながら、イランはそれを真っ向から否定し、米国はイランを陥れようとしていると主張する(中国もロシアもイラン寄り)。そして、被害にあった日本や欧州のフランスやドイツは、どちらにもつかない態度を取り続けている。これには政治的な立ち位置も影響しているが、今回の事件に限らず、最近のイラン情勢をめぐっては、やったやってないの言葉の論争が続いている。

◆イランが持つ国際的なシーア派ネットワーク
 筆者も答えを断定できる立場にはない。しかし、各国の見解を聞いていると一つのことが頭に浮かぶ。それはイランが持つ国際的なシーア派ネットワークだ。

 長年、イランはイエメンの「フーシ派(Houthis)」やレバノンの「ヒズボラ(Hizballah)」、バーレーンの「アル・アシュタール旅団(Al Ashtar brigades)」、イラクの「Harakat al nujaba」や「Badr Organization」、シリアのアサド政権や「Liwa Fatemiyoun(アフガニスタン発祥)」などのシーア派組織をバックで支援し、またシーア派民兵を現地へ送り込むなどしている。

 これらの組織は逐次テヘランからの指示に従って行動しているわけではなく、独自の判断で活動している。昨今、フーシ派はサウジアラビア領内へのミサイル発射やドローン攻撃を繰り返しているが、それらがテヘランからの直接的な指示によるものとは言い難い。各シーア派組織がテヘランとどれほど密接な関係にあるかは組織によって違い、その度合いを明らかにすることは極めて困難だ。要は、イランとしては、米軍と真正面から対峙することは避け、支援はするが独自の判断で動くシーア派組織に一端を担わせることで、米国の対イラン政策を混乱させようとする狙いがある。

                                                                                                                 

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Text by 和田大樹