タンカー攻撃、「やった・やってない」の裏側 イランが仕掛ける非対称戦

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◆米国とイランの非対称戦争
 よって、これに上記の各国の発言を合わせると辻褄が合う。トランプ政権は、直接の命令がなくてもイランが支援する組織が実行すれば、「イランがやった」と主張し、政治的に自らに有利な環境を作り出そうとする。一方、イランは直接
攻撃しろと命令を出していないことから、「自分たちはやっていない」と関与を否定する。そして、第3国はイランの具体的な関与を証明できないことから、両者の主張の狭間に陥ってしまう。

 つまり、米国が「イランがやった」と主張しても、では「どの程度やったのか、どの程度関与したのか」が証明できないことから、こういった事案は時間が経つにつれ人々の関心が薄らぎ、闇に葬られてしまう。おそらく、イランは今後も対米ではこういった非対称戦を続けるのだろう。

Text by 和田大樹