中国が南太平洋を狙う理由 フランス、オーストラリアが警戒強める

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 今年5月19日から22日にかけて、インドネシアのスマトラ島沖のベンガル湾で、日本と米国、フランス、オーストラリアの4ヶ国が参加する合同軍事訓練「ラ・ペルーズ(La Perouse)」が初めて実施された。日本の海上自衛隊からは、ヘリコプター搭載護衛艦いずも(DDH-183)と汎用護衛艦むらさめ(DD-101)が参加し、米海軍からはミサイル駆逐艦ウィリアム・P・ローレンス、フランス海軍からは空母シャルル・ド・ゴール(R91)などが参加した。4ヶ国が合同で訓練をするのは初めてだが、この政治的背後には中国をめぐる動きがある。とくにフランスとオーストラリアは、中国の南太平洋をめぐる動きに懸念を強めている。

◆南太平洋で警戒を強めるフランス、オーストラリア
 この合同演習後の6月2日、フランス軍は、シンガポールで開催されたアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)で、「フランスはインド洋、南太平洋に160万人もの国民、島々、広大な排他的経済水域を持っており、今後も同地域へ関与し続け、南シナ海への航行のほか、瀬取りなど北朝鮮の海上での違法取引を取り締まるため多国間協力を強化する」と主張した。

                                                                                                                 

 フランスは南太平洋にニューカレドニア、ウォリス・フツナ、仏領ポリネシアなどの領土を有しており、中国の同地域への影響力拡大に懸念を強めている。昨今、ニューカレドニアではフランスからの独立を問う住民投票が実施され、反対派が過半数を占める結果になっているが、今後も実施される予定でフランスはその動向を注視している。フランスのなかには、独立派が多数になった場合の中国の出方を警戒している。

 また、5月のオーストラリア総選挙で勝利したモリソン首相は6月3日、南太平洋のソロモン諸島を訪問して(オーストラリア首相が訪問するのは11年ぶり)、同国のソガバレ首相と会談した。モリソン首相は、今後10年間で188億円もの巨額の経済支援を行うと発表したが、その背景には中国への懸念がある。

 現在、ソロモン諸島は台湾と国交を有しているが、ソロモン諸島の輸出額の6割以上を中国が単独で占め、最大の貿易相手国となっており、2017年には中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」がソロモン諸島に高速インターネットの設置を提案するなど、その影響力は高まっている。

Text by 和田大樹