反捕鯨派にも問題があった……日本のIWC脱退、海外の見方に変化も

Katsushika Hokusai / Wikimedia Commons

◆今こそ対話を 元IWC会長、反省を促す
 1995年から1998年までIWCの会長を務めたピート・ブリッジウォーター氏は、日本のIWC脱退宣言は驚きではなかったとし、オーストラリアを含め反捕鯨国側にも問題があったとしている。

 豪 ABCのニュースサイトに寄稿した同氏は、IWC会長時代に、捕鯨に対する国際社会の無益なアプローチを目にしたと述べる。2012年にも「我々にはより分別ある対話が必要だ。そのなかで、オーストラリアはプラカードを下ろし、日本は箸を置く。それから、現実の問題の議論が始まる」と指摘しており、互いの対話が欠けていたことを認めている。

「同じ考えを持つ」国々が、日本が用意した捕鯨の重要性を示す分厚い資料を見下すかのようにはねつけたこともあったそうだ。同氏はそういった行為は単なる傲慢であり、対話とは相手に話しかけるだけではなく、相手と話しあうことであり、耳を傾けることだとする。

 日本のIWC脱退は、日本国内の政治的戦略による部分もあるが、西洋が「クジラを殺すのは嫌だ」と繰り返し唱え、NGOが感情的なナンセンスをばらまいたために引き起こされたと同氏は述べる。クジラの数が増えている南極海とは違い、資源の減る日本近海で日本が捕鯨を続ければ、結果としてクジラの減少につながってしまう。日本のIWC脱退は誰の得にもならないと同氏は述べ、もう怒鳴るのはやめて、話し合ってはどうかとしている。

Text by 山川 真智子