武器輸出3、4、6位の仏独英で問われる責任 多くが中東・アフリカの戦火へ

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 昨年(2017年)の主要武器輸出国25ヶ国の詳細をまとめたストックホルム国際平和研究所の報告書によれば、世界全体の取引量は、冷戦終結後大幅に減少したものの、2000年代以降は微増傾向に転じている。

 武器輸出ランキング上位国の中で、特に近年武器輸出のスタンスが問題になっているのが、フランス(3位)、ドイツ(4位)、イギリス(6位)の欧州勢だ。これらの国では中東への輸出が多くを占め、自国の武器が激しい内戦の火に油を注いでいるという批判が噴出している。

◆欧州製の武器の多くは中東へ
 武器輸出ランキングトップ10は次の通り。1位アメリカ、2位ロシア、3位フランス、4位ドイツ、5位中国、6位イギリス、7位スペイン、8位イスラエル、9位イタリア、10位オランダ。武器輸出が事実上解禁されたばかりの日本はランク外だった。

 全体的には、中東、アジア、オセアニアへの輸出が増加。南北アメリカ大陸、アフリカ、ヨーロッパへの輸出は減少している。議論を呼んでいる英仏独の主要武器輸出先を見ると、フランス(1位・エジプト)、ドイツ(3位・イスラエル)、イギリス(1位・サウジアラビア、2位・オマーン)と、やはり中東諸国が重要な位置を占めている。

 1位アメリカもサウジアラビア(1位)、UAE(2位)と中東がトップクライアントになっているが、2位ロシアはインド(1位)、中国(2位)、ベトナム(3位)とトップ3に中東は入っていない。輸出増加率トップの中国も、輸出先上位にパキスタン(1位)、バングラデシュ(2位)、アルジェリア(3位)と中東は含まれない。これらの数字を見ると、確かに現代の中東の戦火はアメリカと西欧諸国の武器によって引き起こされているように見える。

Text by 内村 浩介