中国初の国産空母「001A」、試験航海へ 空母戦力拡大を急ぐ狙いとは?

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 中国初の国産空母が4月23日、大連港から曳航された。黄海・渤海での試験航海に向かったと見られる。この前日には、既に実戦配備中の旧ソビエト製空母「遼寧」が、尖閣問題で争う日本を牽制するように東シナ海で艦載機の発着訓練と実弾演習をしたばかり。既に2隻目の国産空母や空母を護衛する駆逐艦も建造中だとされ、中国は名実ともにアメリカに次ぐ世界第2位の空母大国となった。空母機動部隊の整備を急ぐ中国の狙い何か? 外交専門誌フォーリン・ポリシーなどが分析している。

◆世界第2位の空母大国の地位を固める
 初の国産空母の正式名称は明らかになっていないが、西側メディアは通称「001A」と呼んでいる。蒸気タービン方式の通常型で、排水量6万5000トン程度とされる。旧ソビエト製でウクライナから購入し、中国が完成させた中国初の空母「遼寧」とほぼ同等の性能と見られるが、艦載機の搭載数が増えている(J-15を24機→30機程度)とされる。遼寧と同じく、先端が反り返った旧式のスキージャンプ台型の飛行甲板となっている。

 中国政府は001Aの出港について今のところ何も発表していないが、インターネット上には大連港のバースから曳航される様子の写真と映像が溢れた。『アジアタイムズ』は、「中国の多くのネチズンが興奮とナショナリストなプライドを表した」と、一部の中国市民の熱狂を伝えている。その一方で、海外メディアの関心はそれほど高くないようだ。国内外の温度差の理由は、西側、特にアジアの海の覇権を争うアメリカとは、まだまだ空母戦力の差が大きいためだろう。

 001Aはすぐにも試験航海に入り、年内に中国海軍に引き渡されると見られている。実戦運用開始は来年2019年か2020年となりそうだ。それにより、中国は2隻の空母保有国となり、11隻の原子力空母を保有するアメリカに次ぐ空母大国となる。フランス、イギリス、ロシア、インドなど他の空母保有国は1隻の運用にとどまる。小型空母を2隻保有するイタリアや、ヘリコプター護衛艦を4隻保有する日本も国際的には準空母保有国として扱われているが、フォーリン・ポリシーは、「中国の世界第2位の地位は揺るがないだろう」としている。現状維持か微増が見込まれる他国と違い、今後も空母建造を急ピッチで進め、最終的には6隻程度の艦隊の編成を目指していると見られるからだ。

Text by 内村 浩介