注目度増す仮想通貨、その可能性とは? 寄せられる大きな期待と危うさ

 ここ最近、仮想通貨に関する話題がメディアを賑わせている。仮想通貨よりも、その代表的なひとつであるビットコインのほうが聞き覚えのある人は多いかもしれない。仮想通貨はすでに数百種類が世界中に出回っているとされるが、そこまで増えるのも求める人たちがいて用途があるからだ。仮想通貨は、既存の金融機関を通さずに取引できるため決済速度が早く、多様性を実現できるとともに商品やサービスの売買を促進する。政府も、ビジネスの効率性を高める手段として注目し、今年3月から仮想通貨に「貨幣の機能」を認め、取引所を登録制にして監督しながらの利用促進に動き出している。

◆改めて仮想通貨とは?なぜ注目される?
 そもそも、特定の人たちの商取引のために生まれたのが仮想通貨だ。銀行の決済システムでは時間もかかり、さらに手数料も取られるため、その必要がない仮想通貨が仲間内で流通するようになったのがそのはじまりだ。勘定元帳を利用者全員が分散共有するテクノロジー(ブロックチェーン)で不正利用のリスクも少ないとされる。不正を働くには、その仮想通貨の利用者全員の勘定元帳を書き換えなければならないからだ。

 仮想通貨について、IMFはそのホームページで、「金融ビジネスにおいて効率性が促進される」と認める一方、リスクとして「マネーロンダリングやテロリストの資金調達の手法に使われるほか、詐欺などそのリスクのすべてを消費者は理解できていない」と注意喚起している。利便性が高いものほどリスクも高いというのはインターネット社会にはつきものだが、仮想通貨もその両面がある。

◆日本でも導入進む
 まだ日本では仮想通貨の利用はなじみが薄いが、仮想通貨の強みに着目して受け入れる企業も出てきている。現地通貨に両替せずに利用でき、手数料もほとんどかからない仮想通貨は、海外旅行者にとって非常に便利な決済手段である。そういった観光客の利用を見込み、家電量販店のビックカメラはビットコインで支払いができるサービスを一部の店舗で始めた。また、格安航空会社のピーチ・アビエーションも年内に、ビットコインで航空券を購入できるようにする予定で、今後も導入を決める企業が増えていく可能性がある。

◆バブル? 投機で高騰する仮想通貨
 このところメディアを賑わせているのが、もうひとつの仮想通貨の顔である投機目的での利用だ。TechCrunch Japanの記事によると、4月1日時点の時価総額の合計が250億ドルだった仮想通貨が、6月を迎え4倍に値上がりし、1,000億ドルに達したという。新しいテクノロジーに一般の個人が投資できる機会はこれまでになく、「価値の貯蔵手段」「銀行決済を変えるもの」「海外送金の費用低減」「資金調達やIPOプロセスに革命を起こす」といった可能性などでこれからも期待度が高いのもその理由。しかし企業なら業績などが投資の目安となるが、そういった尺度がない点には注意が必要であるとしている。

「バブル」とは、実態のないものに投機が集中し、その実力以上に評価されることで最終的には破たんを来たすことを意味する。少なくとも、仮想通貨の利用場面は今後も広がりが見込めそうだが、投機の動向には注意を払いつつ、利用を考えなくてはならなくなるだろう。4倍に値上がりしたのなら、受け取った代金が4分の1の価値になる危険性もゼロではない。

◆仮想通貨のもうひとつの役割
 現代の日本人には意識があまりないかもしれないが、海外では自国の通貨危機に備える考え方が一般の人々にもあるようだ。そのひとつの方法が仮想通貨で資産を保有すること。万が一国が破たんしても海外との商取引や移住などの可能性を確保することができる。

 投資ではポートフォリオの考え方でリスクを分散させるのが基本とされるが、仮想通貨もそのひとになる時代を迎えているのかもしれない。投機目的としてその時価にばかりに目を奪われず、ビジネスならば海外との商取引に備えること、個人ならば海外旅行の際の所持金の一部や投資先のひとつ程度に考えて、仮想通貨を利用するのが正解なのかもしれない。

Text by 沢葦夫