LVMH会長、プライベートジェット追跡され売却 CO2排出で標的に

ベルナール・アルノー氏(2017年)|Jérémy Barande / Wikimedia Commons

 世界的に気候変動による環境問題が深刻化するなか、大量の温室効果ガス(CO2)を排出するプライベートジェットが環境破壊につながるとして問題視されている。自家用機を利用する世界の富裕者を標的として、環境活動家らがツイッターで彼らの自家用機を追跡し、フライト情報を公表するという対抗手段に出ている。標的となっている世界の富裕者には、あの有名なラグジュアリーブランドの会長もいた……。

 仏LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループのベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者(CEO)は17日の仏ラジオ番組の取材で、ツイッターで社用機が追跡されたことを受け、同機を売却し、レンタル用ジェット機を利用していることを明らかにした。「色々な話が出ていますが、その(レンタルジェット)おかげで、私の行き先は誰にもわからないはずです」とアルノー会長は語る(ラジオ・クラシック)。

◆ルイ・ヴィトン会長のプライベートジェットを追跡
 同機を追跡してフライト情報を公開する目的で「I Fly Bernard」と 「laviondebernard(ベルナールの飛行機)」という 2つのアカウントがこの半年以内に開設された。フォロワー数は合わせて約10万人に膨れ上った。ツイッター情報によって、報道でも、プライベートジェットを使用するアルノー氏に非難が殺到する。批評家は、いかに同機が温室効果ガスを排出し環境を破壊しているかを述べ、同氏を糾弾した。批判が高まるなか、自家用機の使用禁止あるいは課税する法案を提出する議員も現れた。(ニューヨーク・ポスト

 9月10日にはlaviondebernardが「ベルナール・アルノーあるいはLVMHから社用機に関する音沙汰がないが、ベルナール、どこへ隠れているんだい?」とツイートした。同氏はその数週間前にレンタル用のジェット機に切り替えたとみられている。
 
 アルノー氏の長男アントワン・アルノー氏は先週テレビ番組に出演し、自身の父親が報道で矢面に立たされていることについて、「我々の業界は非常に熾烈な競争が繰り広げられているため、競合相手より抜きん出て競争に打ち勝つには、小回りの利くジェット機が非常に有効なのです」と説明。また、「ジェット機を売却したことで、父親の行き先を競合相手に伏せることができ事業計画も露呈しないで済む」と補足した。(ニューヨーク・ポスト)

Text by 中沢弘子