「6回目の大量絶滅が始まった」生物学者が警告「今回は人間が原因」

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◆無脊椎動物への注目が鍵に
 ハワイ大学が発表したリリースのなかでカーウィ教授は、「無脊椎動物を含めることが、地球史上6回目の大量絶滅が始まっていることを立証する鍵となりました」と説明している。さらに、論文のなかで研究チームは「(絶滅の)率は既知の割合をはるかに上回っており、私たちが明らかに6度目の大量絶滅の始まりを目撃している可能性があるという結論に至った」と述べている。大量絶滅とは地球上の生物種の75%以上が短期間に失われる状況を指すが、それがすでに始まりつつあるとの指摘だ。

 ただし、この推定はあくまで無脊椎動物を基準とした試算だ。絶滅の割合は必ずしもすべての部門で無脊椎動物と同じとは限らない。例として植物の絶滅率は地域によって0.55〜2%程度となっており、最大13%が絶滅した軟体動物よりもかなり低い水準にある。一方、ハワイなど島しょ地域では影響がより深刻だ。過去数千年で太平洋の島々ではおよそ2000種の鳥が絶滅しており、米アース・スカイ誌によると、これは現在の世界全体の鳥類のほぼ6分の1にあたる。

◆人間の活動による初の大量絶滅
 カナダ民放CTV(1月19日)は研究内容を報じ、「地球は次なる大量絶滅イベントのさなかにあるだけでなく、この惑星の種に生じた損害を取り戻すには遅すぎるかもしれない」との見解を述べている。過去に5回起きた大量絶滅では生物種の70〜95%が滅びたが、いずれも自然現象に起因するものであった。最も直近のものは6600万年前の恐竜絶滅時のものだ。しかし、第6回目について論文は「今回は完全に人間によって起きた」とし、過去との違いを強調している。現状を正確に認識することで、環境への取り組みを加速する契機にもなりそうだ。

 研究内容は1月10日付で、生物科学の学術誌「バイオロジカル・レビュー」に掲載された。

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Text by 青葉やまと