「パリ協定に適合」はガンビアのみ 西アフリカの小国の気候変動対策とは

Alberto Pezzali / AP Photo

◆ガンビア:パリ協定の目標に唯一適合
 西アフリカの小国ガンビアは、2回目のNDC(NDC2)を提出した数少ない国の一つ。温室効果ガス排出量削減のための取り組みのモニタリングを行う調査団体、クライメート・アクション・トラッカー(The Climate Action Tracker:CAT)が今年9月に発表した評価によると、ガンビアは、「パリ協定の目標に適合」と評価された唯一の国だ。CATは、英国を除くほぼすべての先進国に対して、自国の政策やアクションプランが十分でないという評価を下している。

 ガンビアはアフリカ大陸(本土)のなかでもっとも小さい国で、その面積は1万1300平方キロメートルと、日本でいうと秋田県ほどの国土面積だ。国土の56%が農地で、44%を森林が占める。人口は約220万人。55%が24歳以下の若者で、平均年齢は21.8歳。ガンビアの経済は農業と海外からの送金がドライバーで、第2次産業が占める割合は14%。温室効果ガス排出量割合は0.01%以下だ。

 国連のプラットフォーム上で公開されているガンビアのNDC2には、温室効果ガス排出量削減に向けた22の施策が明記されている。施策の実施により、2030年時点でベースラインの排出量予測に対して、排出量を半減させる計画だ。施策分類の一つが、農業分野における排出量の削減で、稲作方法の改善、家畜管理における生産性の改善、食品ロスの削減などが掲げられている。そのほか、植林や廃棄物処理方法の改善などによって、排出量の削減を目指す。

 ガンビアが施策を実施する上での十分なキャパシティを備えているかについては、疑問の声もあるが、温室効果ガス排出量削減に向けた、自国のフェア・シェアを提示している点は評価すべきである。一方、中国、米国、インド、ロシアなど現時点の排出量シェアの多くを占める大国は、十分な排出量削減計画を提示できていない。パリ協定の目標に適合していると評価されているのが、小国のガンビアのみというのは、世界的な気候変動への対応がいかに足りていないかという危機的な状況を如実に示す事実である。

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Text by MAKI NAKATA