加速する地球温暖化 18歳の活動家トゥーンベリのメッセージとは

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 8月、地球温暖化の現状や予測を示す国連のIPCC報告書がリリースされた。同月、環境活動家のグレタ・トゥーンベリ(Greta Thunberg)が、スカンジナビア版ヴォーグ創刊号の表紙を飾るとともに、表紙インタビューにてメッセージを発信。より加速する地球温暖化の問題と、是正のためのアクションを推進する彼女のメッセージとは。

◆世界が注目するIPCC報告書
 気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change:IPCC)の第6次評価報告書が8月9日に発表された。IPCCは、人為起源による気候変化、影響、適応および緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988 年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立された組織。IPCCは、独自の調査・研究は実施せず、世界の科学者の論文、観測・予測データに基づき、専門家が報告書をまとめる。IPCC報告書は、気候変動に関する論文やデータの集大成的な存在だ。

 政策立案者向けの要約版報告書(PDF)は、現状、未来予測、リスク精査・地域ごとの採択に関する情報、気候変動を最小化するための施策という4つの点に関して議論が展開されている。現状に関しての最も重要な点は、人間の影響によって地球温暖化がもたらされたことは明白で、地球環境は広範囲かつ急速に変化しているという点、そして近年の環境変化は、何百、何千年という時をさかのぼって過去に例がない規模で起こっているという点、そして、人間がもたらした気候変動は、すでに熱波、豪雨、干ばつ、サイクロンなどの異常気象といった形で影響を及ぼしているという点だ。今回の報告書では、気候変動は人間がもたらしたという点が、前回の第5次報告書と比較して、より明確な因果関係として示されているという事実も着目すべき点だ。

 未来予測に関する重要な点は、対策のために温室効果ガスの排出量を減らしたとしても、少なくとも今世紀の半ばまでは、地球温暖化が継続される見込みだという点、そして、二酸化酸素排出量を劇的に削減しない限り、2050年以降、地球の温度は1.5度以上の上昇が予測されるという点だ。報告書では、温室効果ガスの排出量に応じた5つのシナリオが議論されている。最悪のシナリオでは、21世紀末には地球の温度が4.4度上昇するという予測だ。世界中の人類がウイルスの脅威に晒されているパンデミックの最中、そして、世界各地にて豪雨や森林火災といった自然災害が頻発する状況を目の当たりにするなかで、今回の報告書の内容はこれまで以上に実感を持って受け止められる可能性があると言えそうだ。

Text by MAKI NAKATA