COP24、パリ協定の運用ルール合意 排出量取引制度は持ち越し

AP Photo / Czarek Sokolowski

 ポーランドのカトヴィツェで16日に開催された国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)に、世界で最も温暖化ガスを排出している中国とアメリカを含む約200ヶ国が一堂に会し、温暖化ガスの排出量や削減に向けた取り組みを報告する上でのルールが採択された。これにより、各国は2015年に採択されたパリ協定の実現に向けて一歩踏み出すこととなる。

 しかし、この会議では交渉がまとまらず重要な決定が来年に持ち越された事案もある。この10年で世界は化石燃料から即座に脱却するべきだと科学者が警告する状況の下、環境保護主義者や一部の国々の苛立ちが募る結果となった。

「パリ協定の実施に必要なルールブックがあらかた定まった。感謝すべきことだ。しかし、会議参加国が足を引きずられる形でゴールに駆け込まなくてはならなかった様子をみると、一部の国は、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が示した地球温暖化の悲惨な結末に目を見開いていないようだ」と、キリスト教援助団体クリスチャン・エイドの気候政策専門家であるモハメッド・アドゥ氏は話している。

                                                                                                                 

 会議では、各国の温室効果ガス削減方法についての全体的なルール策定で合意が形成された。途上国は、温室効果ガスの削減、海面上昇など環境変化への対応、過去に受けた被害の補償につながる財政支援を受けられることを確認した。

「今回の議論を通じて、小さいながらも多くの一歩をともに踏み出した」と、議論をまとめたポーランドのクリティカ環境副大臣は述べている。

 一部容認しがたい部分もそれぞれの国ではあるようだが、利害のバランスが図られるよう調整がなされたという。「成果を獲得するためには、秩序を受け入れなくてはならない。未来を見据える勇気を全員が持たなくてはいけない。加えて、人類のためにあと一歩踏み出さなくてはならない」とクリティカ環境副大臣は言う。

 科学者の間では、政府の対応が追いつかない速度で地球温暖化が進展しているという懸念が広がっている。その状況で今回の会議が開かれた。地球温暖化により、あの凄惨なカリフォルニアの山火事や、今年アメリカを襲った強力なハリケーンなどの自然災害が拡大するという研究結果が先月明らかにされた。

 IPCCによる最近の報告では、地球の温度を産業革命前に比べて今世紀末までに1.5℃の上昇に抑えるのは可能だが、そのためには化石燃料からの脱却を含め世界経済の劇的な変革が必要になるという。

 そうした思想を会議の最終文書に取り入れようとする動きを警戒した原油輸出国のアメリカ、ロシア、サウジアラビア、クウェートは、会議の中盤でIPCC報告書への賛同を阻止した。それにより、小さな島国など立場の弱い国々や環境保護主義者たちの反感を買うことになった。

 最終文書では、以前は言及されていた2030年までの温室効果ガスの具体的な排出削減量が削除され、IPCC報告の結論ではなく「適切な時期にまとめられた」ことに歓迎の意を示すにとどまった。

 ポツダム気候影響研究所の運営に協力している科学者のヨハン・ロックストローム氏は、今回の合意は「救い」であると話している。「ポピュリズムやナショナリズムの台頭にもかかわらず、パリ協定は生きている」

 ロックストローム氏にとっての最大の懸念は、今回の会議で「目標と科学の整合性を確保できなかったこと」だ。とりわけ、IPCCの報告にあるように、化石燃料由来のガス排出量を2030年までに半減させる必要性を明記できなかった。

 アメリカの科学者団体「憂慮する科学者同盟」の戦略・政策担当ディレクター、オールデン・マイヤー氏によると、今回の会合でパリ協定の「実施に向けた強固な基礎と力」が確保された。次期以降の政権下でのアメリカの協定復帰につながる可能性もあるという。

 大きな行き詰まりを見せたのが、機能する「炭素クレジット」市場をいかに創設するかだ。経済学者は、温室効果ガスの排出を削減し、地球温暖化を防止する手段に必要な資金を確保するためには、国際的な排出権の取引システムが有効な方法になると主張している。

 しかしブラジルは大量の炭素クレジットを保持したいと考えていた。これは、信頼性が低く不透明だと先進国が非難している旧制度の下で蓄えたクレジットだ。

 トランプ大統領がパリ協定からの離脱を表明し、エネルギー源としての石炭を推進しているにもかかわらず、議論に最も強硬に反対したのはアメリカである。

「全体的に、この会議でのアメリカの行動はどこか一貫性に欠けるところがあった。石炭を推奨し科学を侮辱する一方で、強力な透明性ルールを確立する場では熱心に取り組んでいた」と、ワシントンのシンクタンクである気候エネルギーソリューションセンターの エリオット・デイリンジャー氏は言う。

 制度面でいえば、アメリカは2020年までパリ協定の締結国である。カトヴィツェ会議に参加したのはそのためだ。

 ある国が温室効果ガスの削減公約を巧妙に逃れられる可能性のある抜け穴を防ぐことに関して、「アメリカはほかのどの国よりも、すべての国が同じ制度の適用を受けるルールの透明性確立に向けて熱心に働きかけ、その目的をおおむね達成した」と、デイリンジャー氏は話している。

 結果的に、排出量取引制度の設計に関する決定は来年の会議に持ち越されることになった。2019年9月に開かれるニューヨークでの国連サミットにおいて、目標の引き上げを検討していくことについても各国は同意した。

 カナダのキャサリン・マッケナ環境大臣は、とりわけ多国間外交がナショナリズムによる圧力を受けている昨今、各国が地球規模の問題に取り組む場合には、こうした会議の代わりになる手段はないと述べた。

「世界は変わってしまった。政治の景色が変わってしまった」とマッケナ大臣はAP通信社に語った。「それでも前進できることをこの場で示した。我々は問題を議論できる。解決策を導くことができる」

By FRANK JORDANS, Associated Press
Translated by Conyac

Text by AP