「パリ協定に適合」はガンビアのみ 西アフリカの小国の気候変動対策とは

Alberto Pezzali / AP Photo

 10月31日から11月12日にかけて、英国グラスゴーで開催されている国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(the 26th UN Climate Change Conference of the Parties:COP26)。会議直前に公表された調査結果によると気温上昇を1.5度に抑えるというパリ協定の目標に適合しているのはガンビアのみ。改めて注視される気候変動課題だが、世界のほとんどの国において対策が遅れている状況だ。

◆改めて注視される気候変動課題
 グラズゴー開催のCOP26に先駆けて、イタリア・ローマにて「2021 G20サミット(金融世界経済に関する首脳会合)」が開催され、議論の総括としてG20ローマ首脳宣言が発出された。宣言本文18ページの英文文書内に、気候(climate)という単語は33回登場し、気候変動(climate change)という言葉は16回使われている。気候変動に対応するための共通のビジョンに合意したとあるが、2050年までのネットゼロ達成といったような具体的な目標に関しての言及はなく、G20における各国のコミットメントは限られたものにとどまった(BBC)。

 G20閉幕のタイミングで開始したCOP26は、国連が毎年開催する気候変動会議の2021年版。COP(Conference of the Parties)は、締約国会議を意味し、国連気候変動枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change:UNFCCC)に調印した197の国と地域(196ヶ国とEU)が締約国として参加する。COPのイベントはブルー・ゾーンとグリーン・ゾーンに分類される。ブルーゾーンでは、国家代表団や国連機関・関連機関などが、各国の代表団が正式交渉と非公式協議の両方を行う。グリーン・ゾーンでは、ワークショップや関連展示など、一般向けのイベントが開催される。

 COP26の達成目標は4つ。1つ目が、21世紀半ばまでに地球規模でのネットゼロを確実に達成し、1.5度の目標を手の届く範囲にすること。2つ目が、気候変動に適応してコミュニティ自然生息地を保護すること。3つ目が、資金を動員すること。そして4つ目が、目標の実現に向けて協力することだ。

 COP26には、より具体的な意味付けとして、2015年開催のCOP21で合意されたパリ協定に関する進捗を確認する場である。パリ協定は、世界中のほぼすべての国が参加した、排出量削減に向けた法的拘束力のある初めての協定で、気温上昇を1.5度に抑えるための温室効果ガス排出量削減というトップダウンの取り決めと、ボトムアップの自国が決定する貢献(National Determined Contribution:NDC)で成り立っている。NDCは各国の排出量削減計画だ。パリ協定では各国が5年ごとにこのNDCを更新・発信することが合意されている。現時点で194の締約国が最初のバージョンを提出済みで、13の締約国が2回目のNDCを提出している。

Text by MAKI NAKATA