人類の歴史が変わる? 化石燃料社会から脱炭素社会へ

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◆政府の14重点分野 本当に実現可能か?
 経済産業省は昨年12月25日、「2050 年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」のなかで、14の重点分野で脱炭素を推し進めると発表した。この膨大な資料の中身を以下に簡単に説明する。

洋上風力発電:再生可能エネルギー(再生エネ)の主力電源の切り札。2040年までに3000万kW(大型火力30 基分)~4500万kWを実現、国内調達率60%を目指す。

燃料アンモニア:燃焼してもCO2を排出しない。NOxを発生させない技術はすでに確立。2030年に向けて、石炭火力20%混燃の実証、実用化。2050年までに混焼率の向上や専焼化を図る。

水素:燃料電池など幅広い分野で活用が期待される脱炭素のカギ。導入量は2030年には300万トン(1000万トンに引き上げとの報道もある)、2050年には2000万トンに。

原子力:安定的にカーボンフリーの電力を供給することが可能(しかし事故が起こるとその処理に膨大な時間と費用が必要で、東日本大震災で経験済み)。安全性が高いとされる小型原発を2020年代末に海外で開発、量産体制を確立。

自動車・蓄電池:自動車は、電動化を推進。少なくとも2030年代半ばまでに乗用車の販売を100%電動車に。商用車についても、乗用車に準じて2021年夏までに検討を進める。

半導体・情報通信:デジタル化・電化の進展は、人・物・金の流れの最適化が進むことなどを通じ、エネルギーの効率的な利用・省CO2化にも繋がる。2040年までにデータセンターの脱炭素化を目指す。デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進。

船舶:2028 年までにゼロエミッション船の商業運航を実現、2050年に水素・アンモニア等の代替燃料に転換。

物流・人流・土木インフラ:物流・人流の拠点である港湾・空港の整備、それを支える土木インフラのゼロエミッション化で、カーボンニュートラルポートを2050年までに推進する。

食料・農林水産:2050年に化石燃料起源CO2のゼロエミッションを実現。

航空機:装備品・推進系の電動化。機体・エンジンの軽量化・効率化。バイオジェット燃料など・合成燃料の使用。2030年以降の水素航空機の投入。

カーボンリサイクル:CO2を資源として有効活用する技術で脱炭素社会を実現するためのカギ。バイオ燃料や化成品などを製造。

住宅・建築物産業/次世代型太陽光:ペロブスカイトなどの技術の開発・実証化を加速。

資源循環関連:リデュース・リユース・リサイクルで、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロに。

ライフスタイル:脱炭素プロシューマー(再生エネで作り出すエネルギーが消費よりも多い家庭)育成のための啓発。

 以上のように、脱炭素に向けてやるべきことはきわめて多岐に渡っている。これを実現することは並大抵なことではないが、地球上に生きている人間一人ひとりが考えるべきことだろう。

 詳しくは経済産業省の資料が参考になるが、本稿では洋上風力発電・再生可能エネルギー(再生エネ)、自動車・蓄電池、政治経済施策などについて概説する。

Text by 和田眞