人類の歴史が変わる? 化石燃料社会から脱炭素社会へ

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◆脱炭素に向けての政治経済施策
 政府は、電力会社に温室効果ガスの排出枠取引制度導入を検討している。これは排出量の上限を超えた場合には他社から排出枠の購入を求める制度で、再生エネ導入拡大を促す。また、排出量に応じて課税するカーボンプライシング(CP)が検討されているが、経済産業省と環境省との足並みが揃っていないようだ。

 2021年のキーワードは「トランジション(移行)」と言われ、CO2など温室効果ガス排出量の多い企業が低炭素化を進めることを指している。ESG投資とは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス=企業統治)の3つの観点から企業の将来性や持続性などを分析・評価した上で、投資先(企業など)を選別する方法のことで、ここでも脱炭素が注目を集めている。このように脱炭素は、金融業界の投資にまで影響を及ぼしている。

 政府の脱炭素支援基金(2兆円、水素エネルギーや蓄電池)など、CO2削減に向けて、毎日のようにメディアを賑わしている。できることは何でも実行に移すべきだろう。

◆まとめ
 以上、政府の14重点分野の内、主に再エネ、自動車関連、そして政治経済について概説してきた。まだまだ多くの課題を解決しなければならないが、環境規制が変革を促す時代、環境と成長の二兎を追う必要がある。いま、新たな環境革命が始まっている。

 14重点分野の内の「カーボンリサイクル」と「水素」については稿を改め、科学的な内容を概説する。

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Text by 和田眞