人類の歴史が変わる? 化石燃料社会から脱炭素社会へ

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 人類は快適な営みを求めて、農業革命、産業革命、情報革命を成し遂げてきた。この間、エネルギー獲得を目的に化石燃料を人為的に燃やし、自然界の循環に逆らって一方的に二酸化炭素(CO2)排出をしてきた。しかし、増え続けてきたCO2を今度は一転して減らすことが求められ、まさに世界的な革命が起ころうとしている。「脱炭素」「カーボンニュートラル」「カーボンゼロ」など言葉は色々だが、本稿では、その達成に向けての試みを概説する。

◆化石燃料社会における人類の過ち?
 人類が化石燃料を使う前、地球上においてCO2は基本的に水や酸素と同様に、増えもせず減りもせず、うまく循環していたはずだ。地球化学的循環は数百万年オーダーの変動で、大気中のCO2は水に溶け、やがて炭酸カルシウム(CaCO3、石)となって固体になり、火山の爆発により、CO2が大気中に出て、また水に吸収される。生物学的循環は数万年オーダーの変動で、植物は大気中のCO2と水から光合成によりデンプンやセルロースを作り、このとき酸素が発生し、動物は酸素を吸ってCO2を吐いている。このように、CO2や酸素は、バランスよく循環している。これが自然の摂理だ。

 しかし、人類はエネルギー獲得のため化石燃料を燃やし、地球化学および生物学的循環に比べて微々たる短期間、過去200年の間に、一方的にCO2を排出してきた。この人為的に排出されたCO2をリサイクルする術(人工光合成など)を人類は不幸にもいまだに持ち合わせていないので、CO2は大気中に溜まる一方だ。CO2は温室効果ガスの一つであり、地球温暖化、気候変動の元凶となっていることは周知のとおり。それではCO2削減をどう達成すればいいのか考えてみよう。

Text by 和田眞