SUVがエコカーの成果を食いつぶす? 世界的ブームで増えるCO2排出量

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 大手自動車メーカーは、二酸化炭素を排出し大気汚染の元となる化石燃料を使った自動車から電気自動車の生産に移行しつつある。ところが、この流れに逆らうかのように、いま世界で最も人気の高い自動車は、ガソリンを食う大きなSUV(スポーツ用多目的車)だ。国際エネルギー機関(IEA)は、この勢いが続くと、低燃費車や電気自動車による努力が台無しになってしまう、と報告している。

◆SUV世界的トレンドへ 高級感が人気
 IEAの報告書によれば、世界のSUV市場はこの10年で2倍になり、現在2億台以上のSUVが世界の道路を走っている。2010年からこれまでに増加した自動車の60%、つまり3台に2台は、SUVだったことになる。

                                                                                                                 

 人気に最初に火がついたのはアメリカで、いまやアメリカで売れる自動車の約半分はSUVだという。トレンドは世界に広がっており、欧州でも自動車セールスの3分の1はSUVだ。中国では富と地位のシンボルと考えられており、まだ販売数が少ないインドやアフリカでも、収入の増加や都市化などにより、プレミアムで豪華なイメージの車の需要は伸びると考えられている(IEA)。

 SUVブームにより、セダンを得意とするドイツのメーカーも生産を国内に切り替え始めている。そもそもSUVはピックアップトラック同様、アメリカでのみ人気だったため、ドイツメーカーはSUVの生産を海外で行っていた。セダンやハッチバックが売れなくなり、国内工場がSUV人気の恩恵をまったく受けられておらず、工場のバランス調整をせざるを得ない状況だという(ブルームバーグ)。

Text by 山川 真智子