SUVがエコカーの成果を食いつぶす? 世界的ブームで増えるCO2排出量

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◆見た目はいいが燃費最悪、温暖化を助長?
 しかし、いまのSUVブームは環境に大きな影響を与えるとIEAは述べる。2010年から2018年における部門別の世界の二酸化炭素排出量の増加を見ると、SUV全体が出す二酸化炭素の増加量は、発電に次ぐ2位で、トラックや航空機よりも上位になっている。

 SUVは中型車に比べ4分の1多くエネルギーを消費するとされ、この10年の世界の燃費悪化の一部はSUVによるものと見ることができる。事実、2010年から2018年の乗用車による1日あたりの石油需要の増加分330万バレルは、すべてSUVによるもので、ほかの乗用車の使用量はわずかに減少していたという。もしもこのままSUV需要がいまと同じペースで増え続ければ、2040年には1日あたりの石油の需要はいまよりほぼ200万バレル増加することになり、1億5000万台の電気自動車が節約する分を相殺してしまうとIEAは指摘している。

◆理解できない消費者心理 電気自動車普及にも疑問符
 自動車情報サイト『Jalopnik』は、世の中には小さくて安くていい車がたくさんあるのにアメリカ人は必要以上に大きな車を買ってしまうことを嘆いている。CNBCは、電気自動車が進歩し、SUVの燃費が悪いことも知られているのに、大きくて環境に悪い車が人気なのは驚きだという研究者の声を紹介している。

                                                                                                                 

 では、SUVが電気自動車になればいいのではないかという考えもあるが、ただでさえ重いSUVにバッテリーを積むことで、電気SUVは電気自動車より効率が悪くなるとJalopnikは指摘する。また、電気は別の場所から来るもので、需要が高まれば、送電網をクリーンなエネルギー源に移行させることが難しくなるとしている。

 さらに、2040年までに1億5000万台の電気自動車を走らせるというIEAのタイムラインも現実的ではないと見ている。この20年で、すでにSUVが世界で2億台も走っていることを忘れてはいけないと指摘。ただでさえ人々はライフスタイルに見合った車を買うことができていないのに、この規模で電気自動車を増やすのはかなり厳しいと主張する。結論として、普通の乗用車を買うべきだと述べている。

Text by 山川 真智子