フィンランド:トナカイと生きるサーミの女性が気候変動の脅威に立ち向かう

インカ・サーラ・アルティイェフは、サーミ議会の議長のアドバイザーを務める、サーミのトナカイ遊牧民一家の出身だ。また、国連気候変動サミットのフィンランド代表でもある。写真提供:ソ二ヤ・ナラン/PRI

 積極的に意見を発言するサーミの女性はますます増えてきている。アルティイェフもそのうちの一人で、彼女たちは小さな村の境界を超えてサーミの声を伝えている。33歳のアルティイェフは、サーミ議会の女性議長ティーナ・サニラ・アイキオのアドバイザーであり、世界会議のフィンランド代表も務める。毎年、先住民代表の派遣団として国際連合の気候変動会議に参加している。同時に、国際関係と法律を専攻する大学院生でもある。

 国際的なサミットでサーミ人と母国フィンランドの代表であることはとても光栄ですと、アルティイェフは語る。「とても奇妙なことですが、以前はサーミ人ではない、あるいは先住民ではない人々が私たちについての決定を下していました。でも、今は私たちも決定権を持っています。そして実際に同じ立場に立っているのです」

変化していく古くからの伝統

                                                                                                                 

 わずかな気温の上昇が、先住民のトナカイ遊牧民たちに大きな影響を与えるかもしれない。かつてトナカイは、雪に埋もれた好物の地衣類(菌類と藻類が組み合わさったもの)を簡単に見つけることができた。しかし、温暖な冬には、降った雪が溶けて凍ってしまうので、硬い氷に阻まれ、トナカイは餌の匂いを嗅いだり掘り起こしたりすることができなくなっている。

 アルティイェフは、数年来経験している、これまでの降雪が降雨へと変わっている気候の変化について説明した。「雪が降ることもあり、その後雨が降ることがあるんです。そして雨が再び凍ってしまう。つまり、雪が硬くなってしまうのです」と言う。「トナカイは、森で餌を見つけられなくなっています。だから、身体がとても弱ってしまったんです」「飼っているトナカイの群れはどんどん小さくなっていきます」

インカ・サーラ・アルティイェフと家族は、最初にできたサーミの村の一つに建つこの家に住んでいる。 この村が、湖のはずれに作られたのは、サーミ人のライフスタイルが遊牧生活から定住生活へと移った時だった。 提供:ソ二ヤ・ナラン/PRI

 フィンランドの学者もこの影響について研究してきた。「北極海エリアは、初冬はとても暖かくて湿った空気が流れます」とフィンランド自然資源研究所(Natural Resources Institute Finland)の科学者、ヨウコ・コンプラは言う。「この空気が陸地に流れて来ると、雨が雪の上に降り、トナカイに悪影響を与えているのです」

 さらに、温暖化により害虫がより発生しやすい環境になってしまった。「気候変動の結果、新しい寄生虫と病気が北部へと拡大しています。トナカイは病気に感染してしまうかもしれません」とコンプラは言う。

Text by Global Voices