インドの「野外排泄」撲滅計画、取り残されたスラム街 農村部では成功

AP Photo / Rajanish Kakade,

 インド都市部におけるスワッチ・バーラト計画責任者のシュリ・ビノッド・クマール・ジンダル氏によると、中央政府は450,000基の公衆トイレをこれらの地域に設置し、特に女性が見つけやすいようGoogleマップに位置情報をアップロードしているという。

 政府のクリーンキャンペーンは農村部で明らかな成果をあげた。これは、40年前にインドで発明された低価格トイレ――2基の汚物槽を交互に使用し、排泄物を堆肥として利用する、レンガ造りの二槽式トイレシステムに負うところが大きい。

 この4年間で、インドで5億人が野外排泄をしなくなった背景には、農村地域に設置された約8,600万基のトイレを使うよう住民に促す49万人のコミュニティ「モチベーター」の存在がある。国連児童基金(UNICEF)は農村に住む女性数千人に対してこのトイレシステムの設計と設置を指導する支援を行っており、指導を受けてそれを本職にした人もいる。

 インド東部のジャールカンド州では、シマ・クジュールさんが同じ村に住む女性たちとともに、政府資金を要求し二槽式トイレの設置訓練を受けるために委員会を設立した。

「以前の村は不潔で、ちょっとひどい状態でした。今では、とても清潔で衛生的です」とクジュールさんは話す。委員会では、トイレの使い方と掃除の仕方を実演する女性を各世帯から採用している。また、野外排泄をした者は罰金が科せられ、野外排泄を通報すると報奨金が支払われるインセンティブ制度を作った。

 しかし、デリーなど都市部では、屎尿汚泥は下水道や浄化槽へ流れ、そのほとんどは人の手で清掃される。

 そして、歴史的に下層カーストの職業とされてきた屎尿汚泥の清掃に対するマイナスイメージは、インドに根強く残っている。

 UNICEFのヘンリエッタ・フォア事務局長は1日、「水道および衛生産業は恥ずべき職業ではなく、インド都市部に住む貧困層の人々を大量に雇用できる可能性を秘めている」とAP通信に語った。

「この職業に地位が与えられ、敬意が払われ、専門性が認められれば、世間の関心が集まるでしょう」

By EMILY SCHMALL, Associated Press
Translated by Naoko Nozawa

Text by AP