移民を騙して民主地盤に移送……フロリダ州知事に誘拐容疑と集団訴訟

マーサズ・ヴィンヤード島に送られた移民(9月14日)|Ray Ewing / Vineyard Gazette via AP

◆ベネズエラ移民が集団訴訟へ
 NBCニュースによると、マーサズ・ヴィンヤード島に連れて行かれた移民たちは、行先での住居や補助金、仕事を約束されて誘導され、テキサス州からフロリダ州まで連れて行かれた。しかも偽のパンフレットまで用意されていた。その後、そこからチャーター機に乗せられて同島に行ったという経緯だが、到着した場所にはもちろん住居も補助金も仕事もなく、ただそこに放置されるという悪質な仕打ちを受けた。

 デサンティス氏は今回の件を正当化しており、この第2弾としてバイデン大統領の地元、東部デラウェア州にさらに移民を送ることを予定していたらしい。しかしUSAトゥデイによると、デラウェア州当局は移民到着の準備をしていたものの、移民を乗せたはずのチャーター機は現れなかった。記事によると、デサンティス氏はフロリダ州の予算から約150万ドル(約2億1700万円)を使ったという。

 そして20日にはマーサズ・ヴィンヤード島に移送されたベネズエラ人移民たちは、マサチューセッツ州ボストンで今回の件についてデサンティス氏と関係者を相手取り集団訴訟を起こした。トランプ前大統領が窮地に追い詰められるなか、デサンティス氏は2024年大統領選に共和党候補として出馬する最有力候補である。共和党の影響力の強いフロリダ州ではデサンティス氏へのお咎めはないかもしれないが、マサチューセッツ州はアメリカでもリベラル派が多い土地柄である。今回の件はデサンティス氏の人の命を軽視した政治的パフォーマンスが、逆に違法行為に繋がるという皮肉な結果となったようだ。

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Text by 川島 実佳