安倍外交を振り返る 国際秩序の変化のなか日本の存在感示す

Shizuo Kambayashi / AP Photo

◆トランプ氏と良好な関係を構築
 また、非常に巧みに行動したといえるのが対ドナルド・トランプだ。2016年の米国大統領選の結果、ヒラリー・クリントン氏を破ってトランプ氏が勝利した際、「過激な発言を繰り返し、アメリカファーストを強調するトランプとどうつき合っていけばいいのか」という大きな不安が日本国内にはあった。

 そのようななか、安倍元首相は戦略的に動いた。国家指導者として真っ先にトランプ氏と会談し、トランプ・アメリカと良好な関係を維持・発展させることに努めた。安倍氏自身、トランプ氏の過激な主義主張に賛成しているわけではないものの、中国の台頭など日本が置かれる厳しい安全保障環境などを考慮し、まさに国益第一を考え戦略的に動いた。その後、幸いにも4年間、安倍トランプ関係は極めて良好で、アメリカファーストを掲げるトランプ氏を日本(の事情)に関与させることに成功した。

◆安倍晋三を失った日本
 安倍元首相を失ったことは日本にとって大きなマイナス要因だ。現在の岸田外交も安倍外交の継続であり、岸田政権が重視する自由で開かれたインド太平洋、日米豪印によるクアッドも安倍時代に強化されたものだ。

 ロシアがウクライナに侵攻したことから、仮に今日も安倍政権が続いていたとしても対ロ政策は難しくなっていただろうが、安倍元首相は北方領土という問題があるなかでも、プーチン大統領と経済・エネルギー分野で関係強化を打ち出すなど、ロシアとも建設的な関係にあった。おそらく、岸田首相も今後外交の難題に直面するだろうが、その際、安倍元首相の存在を大きく感じることになるだろう。

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Text by 和田大樹