コロナ禍・学校教育の遅れを取り戻す 独政府、2700億円の財政支援

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◆コロナ禍の学校教育を乗り切るには
 アネッテ・ウィドマン・マウツ移民・難民・統合大臣は、「移民家族の15歳未満の子供は全生徒数約1100万人のうち40%ほどを占める。これらの子供や若者にも手を差し伸べることが重要だ」と語る。彼らの家族は、看護師などホームオフィスが不可能な職業に就いていることが多く、コロナパンデミックの影響をとくに受けているからだという。(独番組『ターゲスシャウ』)

 こうした背景から教育研究省は、学校閉鎖期間中に多くの子供たちがデイケアセンターに通えなかったために滞っていた言語サポートの予算増額も計画している。

 世界に目を向けると、コロナパンデミック抑止のためのロックダウンにより、計1億6800万人以上の子供たちが1年以上学校に通えなくなっている。2020年3月11日から21年2月までの幼稚園から高等学校までの授業日数をもとに、この間の学校閉鎖の世界の子供たちの状況は、7人に1人が、授業の4分の3以上を休んでいる。(連邦統計局

◆持続的な支援が必要
 一方で、ドイツ児童基金トーマス・クリューガー会長は、「キャッチアッププログラムだけでは不十分である」と批判する。「20億ユーロの財政支援は聞こえがいい。だが、最終的に提供されるのは子供一人あたり150ユーロにも満たない。これでは、パンデミックに対処するための子供たちのニーズをカバーするには到底足りない」と語る。(ターゲスシャウ)

 また、ディアコニー福祉団体(プロテスタント教会社会福祉活動の一環)の社会政策責任者マリア・ロハイデ氏は、「キャッチアッププログラムは待ち望んでいた財政支援だ。しかし、この支援は一過性の(9月26日の連邦議会)選挙のためのプレゼント」であってはならない。求められているのは、家族や子供、若者に直接かつ持続的な支援を行う政策だ」と指摘する。(同上)

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Text by noriko spitznagel