豊かな家庭の子供ほど成功 コロナで深刻になる教育格差

Greg Lehman / Walla Walla Union-Bulletin via AP

 コロナ禍での学校休校、オンライン授業導入により、教育格差が広がっている。幼少期には同じレベルでも、経済的に恵まれた家庭の子供のほうが学力は上がり、その後の成功にも影響するという研究結果も複数出ており、教育格差は所得格差と大きく関連している。

◆不足はお金で補う コロナ禍で教育格差顕著
 米経済サイト『マーケット・ウォッチ』によれば、この秋アメリカでは多くの学校が対面授業を制限したため、専属の家庭教師が対面授業を行うサービスを利用する親が増えている。背景として、こうした親たちは、春に急いで導入されたリモート授業は不十分で、社会性を育てるための教師や友達との交流が欠如していると考えている。また、普段は学校にいるはずの子供たちが家にいることで、親自身が仕事に集中できないという問題もあるからだ。

 家庭教師を雇う私的なホームスクーリングには、資金や場所の確保が必要なため、お金に余裕がある家庭だけが利用できることになる。これが、公正な教育に影響を与えており、すでに多くの教育者や専門家が指摘しているように、高速インターネットなどのさまざまなデバイスへのアクセスや親の家庭での監督が整っている生徒と、そうでない生徒の間でギャップが広がっている。

 米シンクタンク、ピュー研究所が、リモート授業が始まった学校(幼稚園~高校)に通う生徒の親に行った調査では、「子供が学習を携帯電話で行わなければならない」「安定したインターネット接続が家庭で期待できないため、子供が公共のWi-Fiに頼らざるをえない」「家にコンピューターがないため学習を終えられない」のうち、「少なくとも一つが障害となるだろう」と答えた低所得の親は59%で、中所得者の30%、高所得者の13%を大きく上回った。

Text by 山川 真智子